前回の『仮設工事』から少し時間が空いてしまいまして、申し訳ございません。このところ現場が立て込んでいて大変な思いをしていますが、頑張ります。
 
 仮設工事は、本工事を安全に行うための準備工事であることは、前回お話をいたしました。これから行う『地盤改良工事』は、大変危険な工事です。
 通常の『地盤改良工事』は、平坦な土地に建物を建築するための工事ですが、今回は、土留めコンクリート擁壁工事を施工するための準備工事です。コンクリートは木材に比べ比重が大きいため、同じ面積でも重量に大きな違いが出ます。その重量のあるコンクリート擁壁を支える地盤に求められるものは、
  ①自沈せずに自立していること
  ②雨水を含んだ土の圧力に耐えること
  ③土の流動を抑えること
などですが、その役目を果たすために必要な地盤の地耐力は、30cm四方で15トン以上です。二階建て木造住宅建築に必要な地耐力は3トン以上ですから、なんと5倍以上の地耐力を必要とするのです。
 
 地盤改良が必要な場所は、当然に敷地の最下点で、道路より10m以上も下なのです!しかも、その改良の深さは約8m、地表から深さ8mまでの土を全て出して改良剤と混ぜ、その土を戻しながら30cmごとに転圧(1tの振動ローラーで圧をかけます)をするのです。土は莫大な量になるし、作業場所は限られ、しかも傾斜地での作業です!その怖さといったら大変なもので、○○○が縮みあがります。
 何たって、地盤の悪い20m地下で作業するのですから、気持ちが悪くなるわけです。地上で改良剤を混ぜているパワーシャベルの振動が下まで伝わり、掘り進めた周りの土がパラパラと落ちてくるし、見上げた時の怖さときたら・・・たまりません。本当に。上の作業者に思わず『止めてっ!』と叫んじゃいます。
 
 恐怖と闘いながら、何とか敷地の三方の地盤改良をしました。もし、15t以上の地耐力が出なければ、工事はやり直しです!それが解っているだけに、仕事は丁寧にやりましたが、さて、いよいよ地盤強度の試験です。
 15tの重機の下に30cm四方の試験板を置き、ジャッキをセットして機械を取り付けて圧力をかけ、一昼夜おきます。もしも、2cm以上沈下していたら、アウトです!!眠れぬ夜を過ごした翌日のその結果は、『4mm』の沈下だけ!(どうだぁ〜!!)
 25t以上の地耐力を確保しました。(誰かじゃないけど、自分で自分を褒めてあげたい)これで、安心してコンクリート擁壁工事に入れます。
 
 次回はいよいよ『コンクリート擁壁工事』です。
富士山に建つ『暮クラージュ趣の家』 自然との共生・・・
その辺のところを、「乞う、ご期待。」